SOUND SHIFT · 音が弱まる・消える
弱形(ウィークフォーム)
can が「クン」、to が「タ」、him が「イム」に聞こえる理由。
弱形とは
to・for・of・can・do・you・him のような機能語(文の骨組みをつくる短い語)が、強く読まれないときに短く弱い音になる変化です。 母音があいまいな「ア」に近い音 /ə/ に弱まり、him・her・he では最初の h も聞こえなくなります。 英語は強く読む語と弱く読む語の差が大きく、「英語が速く聞こえる」いちばんの原因がこれです。
起きる条件
強く読まない 機能語 → 母音が /ə/ などに弱まり、短くなる(him・her・he は h も落ちやすい)
起きないとき
- 文の終わりに来るとき: Yes, I can. の can、Where are you from? の from は、強い形(キャン・フロム)のまま。
- 強調・対比するとき: not from him, but to him(彼からではなく、彼へ)のように言い分けるときの from・to は、強く読みます。
- 否定の形: can't・don't・isn't は弱まりません。I can do it.(クン)と I can't do it.(キャン)は、母音の強さで聞き分けます。
なぜ聞き取れないか
日本語はすべての音をほぼ同じ長さで読みます。英語は強く読む語を長くはっきり、弱く読む語を短くあいまいに読むので、弱い語は一瞬で通り過ぎます。
辞書の形(トゥー・フォー・キャン)で待っている耳には、「タ」「ファ」「クン」が同じ語だと分かりません。
実際の英文で見る
音シフトデコーダー(SSD)は、辞書の音から始めて、起きる変化を1つずつ足していきます。 触らなければ自動で進み、触ると止まります。図の読み方は 音シフトを図で読む へ。
What do you think?
どう思う?
do が「ドゥー」から「ダ」に、you が「ユー」から「ヤ」に弱まる。強く読むのは what と think だけで、「ワッダヤシンク」に近い。
I can do it.
できるよ。
can が「キャン」ではなく「クン」に弱まる。文の終わりの can(Yes, I can.)や can't は弱まらないので、母音の強さで聞き分ける。
A cup of coffee, please.
コーヒーを1杯ください。
of が「オブ」ではなく「アヴ」に弱まり、cup の p とつながって「カパヴ」に近い。
Tell him about it.
彼にそのことを話して。
him の h が消えて「イム」に弱まり、tell の l とつながる。「テリマバウリッ」に近く聞こえる。
よく出る弱形
カタカナは聞こえ方の目安です(話す人や速さで変わります)。右は弱まったときの発音記号。
- toタ/tə/
- forファ/fɚ/
- ofア(ヴ)/əv/
- andアン・ン/ən/
- canクン/kən/
- doダ/də/
- youヤ/jə/
- himイムh が落ちる
- herアーh が落ちる
練習のしかた
- 聞く: 上の例文の図を「弱形化」の段まで進めて、どの語が弱まるかを確かめてから、「ネイティブの音」で聞きます。
- 言う: 強く読む語(名詞・動詞・形容詞など、意味の中心)を先に決め、その間の機能語は短く、口をあまり開けずに言います。
- 強い形と比べる: I can do it.(クン)・Yes, I can.(キャン)・I can't do it.(キャン)を続けて言い、母音の違いを耳で確かめます。
関連する音シフト
自分の英文でも見てみる
会話で使いたい一文を貼ると、どこで音が変わるかを、この図と同じ形で1語ずつ確かめられます。