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Hearlix SSD ビジュアル解説

14 種類の音シフトが、Hearlix の Sound-Shift Decoder で
どのように可視化されるかを実物のレンダリングで確認。

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5 つのスーパーカテゴリ

Linking 音がつながる
CV連結 / R連結 / W挿入 / Y挿入 — 4 種類。音が次の音節へ移る、または渡り音が増える。
Sequence 母音を入れない
子音連続 — 1 種類。音はどこへも移らず、増えも減りもしない。日本語話者が「ス」「ト」と母音を足してしまう場所。連結ではないので 2026-09-09 に Linking から分離した。
Reduction 音が弱まる / 消える
弱形化 / t/d脱落 — 2 種類。機能語の弱化と子音クラスター末尾の脱落。
Modification 音が変わる
鼻音同化 / 閉鎖音同化 / ヨッド融合 / 重子音化 — 4 種類。隣接子音による調音点の変化と、2 つが 1 つになる融合。
Allophonic アメリカ英語の音色
フラッピング / ダークL / 無開放破裂音 — フラッピング(●)は AmE 特化で別アクセントカラー。

子音 + 子音 の境界は、上から順に 1 つだけ名乗る

英語の語境界で子音が 2 つ続くとき、起きていることは 1 つではありません。Hearlix は 起きている中身で 3 つに分け、上から順に最初に当てはまったものだけを表示します。 1 つの境界に 2 つのラベルを出さないのは、学習者が「どちらをやればいいのか」を判断できなくなるためです。

1
同じ子音か? → 重子音化
Modification
2 回言わず、1 つ長く保つ。破裂音どうしなら開放は 1 回だけ。同化で同じ子音になった場合も含む。 Life feels / Stop pushing / could give(/d/→/ɡ/ の同化の後)
合図は長さ。子音が目立つ
2
前が破裂音で、次が口を閉じる音か? → 無開放破裂音
Allophonic
構えは作るが、破裂の音を出さずに次へ渡す。次の構えが先にできてしまうため。 次が /ɹ w j h/ なら口が開いたままなので普通に破裂する。 think that's / right now / like this
合図は破裂音が無いこと。子音が引っ込む
3
どちらでもない → 子音連続
Sequence
母音を入れずにそのまま次の子音へ渡すだけ。音はどこへも移らず、増えも減りもしない。 is totally / this place / if you
合図は無し。1・2 を含む全ての子音連続に共通する土台

※ 1 と 2 は「母音を入れない」を含んだうえで、さらに何かが起きている状態です。3 だけの境界は IPA が 1 文字も変わらないので、ステッパーの STEP にも、キネティック行の印にもしていません —— 踏んでも何も動かない STEP は「1 STEP=1つの変化」を壊すからです。 その代わり、最後の「再音節化」の説明文がどの境界で母音を入れないかを名指しします。

キネティック装飾の凡例

装飾カテゴリ意味
toReduction橙+取り消し線:弱形化(機能語が /ə/ に弱まる)
tReduction橙+二重取り消し線:t/d脱落(子音クラスター末尾が消える)
t‿iLinking青+タイ記号 ‿:音が次の音節へ移る連結。SVG アークも描画
s pSequence印なし:子音連続。IPA が 1 文字も変わらないのでステッパーの STEP にもしていません。指示は最後の「再音節化」の説明文に出ます
nModification紫+アンダーライン:鼻音同化 / 閉鎖音同化 / ヨッド融合 / 重子音化(融合は紫アーチで 2 つが 1 つになったことを示す)
tModification (AmE)緑+アンダーライン:フラッピング (/t,d/ → [ɾ])
lAllophonic茶色:ダークL(音節末で velarized)
pAllophonic茶色+オーバーライン:無開放破裂音 [p̚]

※ ステッパーを step 0(辞書形)から進めると装飾が順に有効化されます。文字にマウスホバーすると、その音変化の解説ツールチップが表示されます。複数規則が同じ文字に時系列で適用される場合(例: that の "t" が閉鎖音同化→無開放)、step に応じて装飾が切り替わります。

Linking — 音がつながる (4種)

CV連結 cv_linking
An apple is on the table.
発生条件前の語が子音で終わり、次の語が母音で始まるとき。前の子音が次の語の頭の音として発音され、音節の切れ目が語境界からずれる。
An apple is on the table. — "An" の語末 n と "apple" の語頭 a が CV連結。「CV連結」step に切り替えると、語境界にタイ記号 ‿ が表示され、青色のアークが2文字をつなぐ。同様に apple‿is, is‿on も CV連結で、タグ pill は「CV連結 ×3」になる。on‿the は子音どうし(/n/+/ð/)なので子音連続——アークは描かれず、灰色のタグだけが付く。
R連結 (V-V) vv_r
For example, this.
発生条件前の語が /ɹ/ または r 音化した母音 /ɚ/ /ɝ/ で終わり、次の語が母音で始まるとき。
For example, this. — "For" の語末 /r/ が "example" の語頭母音 /ɪ/ の前で連結(R連結)。AmE は rhotic なので語末 /r/ は常に発音される — このため Hearlix の SSD で「VV連結(R)」が発火するのは、語末が ɚ/ɝ/ɹ のような r-音化した母音で終わるパターンに限定。ステッパー「VV連結(R)」step で /r/ が連結要素として強調される。

※ Far away のような単純な「/r/ + 母音」は AmE では CV連結として処理されます(語末 /r/ は子音扱い)。
W挿入 (V-V) vv_w
Do it now.
発生条件前の語が後舌の高母音 /u/ /ʊ/ /oʊ/ /aʊ/ で終わり、次の語が母音で始まるとき。
Do it now. — "Do" の /u/ と "it" の /ɪ/ の間に w が挿入。スペリングに無い音が表示されるのが特徴。ステッパー「VV連結(W)」step で (w) が現れる。
Y挿入 (V-V) vv_y
I am ready.
発生条件前の語が前舌の母音 /i/ /ɪ/ /eɪ/ /aɪ/ /ɔɪ/ /ɛ/ /æ/ で終わり、次の語が母音で始まるとき。/ə/ /ʌ/ /ɑ/ /ɔ/ のような中舌・低母音では渡り音を入れない。
I am ready. — "I" の /aɪ/ と "am" の /æ/ の間に y が挿入。(y) 形式で表示される。she is, free of, see it 等にも同様に発火する。

Sequence — 母音を入れない (1種)

子音連続 cc_linking
This place is nice.
発生条件前の語が子音で終わり、次の語も子音で始まるとき。母音を入れずにそのまま次の子音へ渡す。音はどこへも移らず、増えも減りもしないので「連結」とは呼ばない。ただし同じ子音なら重子音化、前が破裂音で次が口を閉じる音なら無開放破裂音が先に名乗る。
This place is nice. — "This" 末尾 s と "place" 語頭 p。子音どうしなので何も足さないのが正解で、「ジス・プレイス」と母音を入れて切ると別の語のように聞こえます。同じ文の is‿nice. も同じです。
この境界はステッパーの STEP になりません。IPA が 1 文字も変わらないので、踏んでも画面が動かない STEP になってしまうからです(2026-09-10 に外しました。それ以前は連結として青いアーチまで描いていました)。
代わりに、最後の「再音節化」の説明文が This‿place is‿nice. と名指しして「母音を入れずにそのまま次の子音へ渡す」と言います。 → 子音+子音の優先順位

Reduction — 音が弱まる/消える (2種)

弱形化 weak
I want to go to the park.
発生条件機能語(to, the, of, and, for, can, was, him …)が強勢を持たないとき。母音が /ə/ や /ɪ/ に弱まる。
I want to go to the park. — "to" "the" 等の機能語が橙色 + 取り消し線で強調される(弱形化)。母音が /ə/ に変化することを示し、ホバーで「弱形化: to /tuː/ → /tə/」のような変化が出る。タグ pill に「弱形化 ×N」が並ぶ。
t/d脱落 elision
Must be done quickly.
発生条件語末の /t/ /d/ の直前が子音で、次の語も子音で始まるとき。子音が3つ続く真ん中が落ちる。
Must be done quickly. — "must" の語末 t が直前の s(子音)と次の語頭 b(子音)に挟まれて脱落。SSD では t に橙色二重取り消し線、ステッパー「t/d脱落」step でハイライト。must be → /mʌs bi/。

Modification — 音が変わる (4種)

重子音化 gemination
Life feels good.
発生条件前の語の最後の子音と次の語の最初の子音が同じとき。2回発音せず1つ長く保つ。破裂音どうしなら開放は1回だけ。同化で同じ子音になった場合も含む(could give は /d/→/ɡ/ の後に /ɡ/ が重なる)。
Life feels good. — "Life" 末尾 f と "feels" 語頭 f が同じ子音。2 回言わずに 1 つ長く保つ(重子音化)。破裂音どうしなら閉鎖を作ったまま開放は 1 回だけになる。ステッパー「重子音化」step で laɪfːilz のように長音記号(ː)で表示され、2 つが 1 つになったことを示す紫のアーチが架かる。同じ文の feels‿good. は違う子音なので子音連続(灰色・アーチなし)で、1 文の中で両方の見え方を比べられる。
鼻音同化 nasal_assimilation
Ten people came in.
発生条件語末の /n/ の次が両唇音 /p/ /b/ /m/ なら /m/ に、軟口蓋音 /k/ /ɡ/ /ŋ/ なら /ŋ/ に変わる。次の子音と同じ場所で構えるため。
Ten people came in. — "Ten" の語末 n が次の "people" の /p/(両唇音)に引っ張られて /m/ に変化。n に紫アンダーライン、ステッパー「鼻音同化」step で強調される。"came in" は /m/ がそのまま /ɪ/ に連結(CV連結)するが鼻音同化は起きない。
閉鎖音同化 stop_assimilation
That boy is my brother.
発生条件語末の /t/ /d/ の次が両唇音なら /p/ /b/ に、軟口蓋音なら /k/ /ɡ/ に変わる。直前が子音のとき(must, next …)はこの規則より t/d脱落が先に起きる。
That boy is my brother. — "That" の語末 t が次の "boy" /b/(両唇音)に引っ張られて /p/ に変化。さらにその /p/ は次の /b/ の前で無開放化([p̚])するため、同じ文字 t に 2 つの規則が時系列で適用される。ステッパー「閉鎖音同化」step では紫アンダーライン、「無開放破裂音」step に進むと茶色 overline に切り替わる(rts レイヤー機能)。
ヨッド融合 yod_coalescence
Did you know that?
発生条件語末の /t/ /d/ /s/ /z/ の次が /j/(you, your, yet …)のとき。それぞれ /tʃ/ /dʒ/ /ʃ/ /ʒ/ の1つの音に融合する。
Did you know that? — "Did" の d + "you" の y(/j/)が融合して /dʒ/(「ジュ」)になる。両文字に紫アンダーラインが付き、さらに語境界をまたいで融合することを示す紫アーチで連結される。ステッパー「ヨッド融合」step で発火し、tip ホバーで「融合: Did‿you → /dɪdʒuː/」のような表示。

Allophonic — アメリカ英語の音色 (3種)

フラッピング flapping
Get a better water.
発生条件/t/ /d/ の直前が母音か /ɹ/ で、直後が強勢のない母音のとき。語の中でも語をまたいでも起きる。アメリカ英語特有。
Get a better water. — "better" の語内 tt と "Get a" の語間 t+a がともにフラッピングで [ɾ] に変化。語内(tt)と語間(t a)の両方が緑色アンダーラインで強調される。ステッパー「フラッピング」step で発火。AmE 特化の音色なので Modification family の中でも別アクセントカラー(緑)が使われている。
ダークL dark_l
I feel full.
発生条件/l/ が語末にあるか、同じ語の中で子音の前にあるとき。音節の終わりの /l/ が暗い [ɫ](ほぼ「ウ」)になる。
I feel full. — "feel" "full" の音節末 l が velarized [ɫ](暗いL = ほぼ「ウ」音)。語内 internal rule として処理され、l 文字が茶色で強調される。ステッパー「ダークL」step で発火。
無開放破裂音 unreleased_stop
Stop. That is it.
発生条件語末の /p/ /b/ /t/ /d/ /k/ /ɡ/ が、発話末・フレーズ末にあるか、次の語が口を閉じる音(破裂音・破擦音・鼻音・/l/・摩擦音)で始まるとき。次の構えが先にできるので破裂の音が出ない。接近音 /ɹ/ /w/ /j/ や /h/ の前は口が開いたままなので普通に開放される。
Stop. That is it. — 文末 "Stop." の p、"That" の t(次のポーズ前)が破裂せず止められる [p̚], [t̚]。茶色 overline で強調。発話末以外でも、次が口を閉じる音なら出現する——破裂音・破擦音・鼻音・/l/ に加えて摩擦音も含む(think that's の /k/、like this の /k/)。
逆に at home could write thank you のように次が /h/ /r/ /w/ /y/ なら口が開いたままなのでふつうに破裂します。この線引きが 子音+子音の優先順位 の 2 番目です。

各シフトをさらに深く知りたい場合は、パターン解説 に「なぜ聞き取れないか」「学習のコツ」が詳しく書かれています。
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